クラブチームの刺繍モノは“着るアート”。
私にとってアートは壁に飾るものだけではありません。日常で愛用しているヴィンテージ古着の中でもアート感覚で楽しんでいるものがたくさんあります。今回はその中でも、限りなく“一点モノ”に近い存在の古着を紹介します。
夏になると、着る機会が増えるのが開襟シャツ。夏らしい涼し気な質感に加え、抜け感のあるスタイリングができるので欠かせません。代表的なものではアロハシャツが有名ですね。アロハシャツもアート感覚で楽しめるのですが、ここで紹介するのはもう少しニッチなシャツです。
まずは、1940年代製のBRENT(ブレント)のもの。アメリカの老舗百貨店『MONTGOMERY WARD(モンゴメリー・ワード)』が展開していたプライベートブランドのひとつで、BRENTはシャツを中心に展開していました。こちらのレーヨン素材の開襟シャツは、ウエスタンヨークがないのに、DOT SNAPPERSのパールボタンを装備した珍しい仕様。左胸には持ち主の名前が刺繍されています。
背中にはアメリカ・ミズリー州カンザスシティに拠点を置く『HAPPY-GO-LUCKY CYCLE CLUB』のチェーン刺繍が大きく施されています。ホースシュー(馬蹄)&クローバーというラッキーアイコンもデザインされた、すごく縁起のいいロゴがカッコイイでしょ!
次は、ボウリングシャツです。アメリカの伝統的な慈善・社交団体であるB.P.O.E.(Benevolent and Protective Order of Elks=通称“エルクス団”)のもの。大きな団体で支部やメンバーの好みで色々なパターンが存在します。
今回の2着はどちらも1960年代初期に作られたものですが、シャツの製造メーカーが異なります。黄色いシャツのはKINGPIN製、白いシャツのはCalifornia BOWLING SHIRT CO.製。どちらもボウリングシャツのメーカーです。エルクス団のボウリングチームのメンバーで同じシャツを着用して、大会などにも出ていたのでしょう。
面白いのが背中の刺繍。支部名などの違いは当然ですが、エルクをモチーフにしたメインのロゴが、同じデザインなのに全然違うというところ。刺繍は担当者がミシンで行うのですが、個人差があるので同じデザインでも全然違うものになるんです。
こちらが白いボディの方。エルクの顔はこっちの方がきれいなフォルムで刺繍されていますよね。これが古着の面白さで、一点モノとしての魅力的なところです。ちなみに、ロゴの上部に刺繍されているのが支部の場所、下部のリボンの中が支部ナンバーだと思います。
こういうチーム刺繍のヴィンテージ古着は、私にとってはアート的な魅力を感じます。日常的にファッションとして楽しむだけでなく、ただ飾っとくだけでも画になると思います!
2026年8月7日
NOT A MUSEUM プロデューサー
三浦 正行




















































































































































































